10月のイチゴ栽培での作業のいちばんのポイントは、翌年の収穫を目指したイチゴ苗の植え付け(定植)とその後の水やり、脇芽・ランナーの摘み取りです。このページでは、10月のイチゴ栽培・イチゴ苗の植え付けのコツとポイントをご紹介しています。
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10月のイチゴ栽培での作業のいちばんのポイントは、翌年の収穫を目指したイチゴ苗の植え付け(定植)とその後の水やり、脇芽・ランナーの摘み取りです。そして植えつけた後の病害虫予防の対策もしておきましょう。
イチゴ苗の植え付けの時期は、育てる地域や、その年の気候によっても多少の違いがありますが、9月下旬から10月中旬頃の短日条件が整う時期に行います。
この時期に、新しく苗を購入して、あるいは夏から秋にかけて育苗したイチゴの苗を、翌年の収穫苗として定植します。
イチゴ苗を植えつける際のいちばんのポイントは、植えつける土と苗への十分な水やりと植えつける苗の向きを揃えること、そして植え付け後の水やりです。
育苗したイチゴ苗、もしくは新たに購入した苗の根鉢に十分に水を含ませ、植えつける土にも十分に水を含ませておきます。こうすることで、植えつけた苗の根が土に馴染みやすくなり、しっかりとした根を張るようになります。
園芸の世界には昔から「水やり3年」という言葉がありますが、水やりの上手下手が翌年の収穫にも大きな違いがでてきますのでしっかり行っておきましょう。
イチゴの果実は、ランナーと呼ばれる匍匐(ほふく)性の茎の反対側にできる花房につくという性質があります。
そのため、植え付けの際にはランナーを畝や鉢、プランターの奥側に向けて、やがて果実が実る花房側が手前に来るように向きを揃えて植え付けます。こうすることで、収穫作業が効率よく行えるようになります。
植えつけるイチゴ苗は、育苗してきた苗であれば、定植するその日に掘り上げて植え付けます。苗を新たに購入して植えつける場合は、できるだけ植えつける日の直前に購入するのが理想的です。
イチゴ苗は短日条件下で花芽分化し脇芽を出す性質がありますが、その短日条件になるのが、ちょうどこの時期です。
この時期に肥料切れを起こしやすいポット苗に入れたまま時間が経つと、その後の生長が遅れて、結果としてやがて果実となる花芽の数が少なくなってしまうので注意が必要です。
そのため、新しく苗を購入して植えつける場合は、できるだけ植えつける予定日の直前に根のしっかりした大きめの苗を選んで購入してください。
ちなみに花芽分化(かがぶんか・はなめぶんか)というのは、植物が発芽して生長し、やがて花や果実になる花芽を形成する過程のことで、花芽分化にはその植物の栄養状態や気温、そして日照時間が大きく影響します。
四季なりイチゴは真夏の時期を除けば年間を通して花芽分化が続きますが、一季なりイチゴは短日条件が整うちょうどこの時期に花芽分化が起こります。
そのため、栄養補給をスムーズに行えないポット苗の状態を長期間続けると、花芽分化が充分に行えないばかりでなくその後の苗の生育にも影響しますので、苗の植え付けの際にはできるだけ好条件で育った苗を選ぶことが大切です。
また通販などでイチゴ苗を購入した場合も、配達された箱からすぐにイチゴ苗を取り出して植え付けを行うか、日程的に植え付けが難しい場合は、日当たりの良い場所に置いて、十分に水やりをしながら植え付け予定日まで管理してください。
植え付け用のイチゴ苗は、状態をよく観察して古い葉や新しく発生したランナーなどがあれば取り除いておきましょう。そして根鉢にしっかりと水を含ませてから植え付けを行い、植え付け直後にも、1株ずつしっかりと灌水します。
露地栽培や鉢植え、プランター(コンテナ)植えにかかわらず、イチゴ苗の定植後に土を乾燥させると、根が土に馴染んで活着する妨げになるので、水やりには十分注意します。
特にハーベリーポットやストロベリーポットなども含めた鉢植えやプランター栽培では、露地栽培の場合に比べて土が乾燥しやすいので、定植後の1周間はこまめに土の状態を観察して、白く乾き始める前に水を与えておきましょう。
露地栽培の場合は、畝全体が白く乾き始める前に水やりを行い、11月中旬くらいまで天候や苗の生育を見ながら水やりを行い、その後水やりを徐々に控えていきます。
定植を終えたイチゴ苗が順調に土に馴染んで根が活着すると、脇芽やランナー、新しい芽が出始めます。
より充実した果実を収穫するためには、ひとつの新芽を残して太い株に育てることが重要ですので、余分な新芽やランナー、古くなった葉は摘みとっておきましょう。
また露地栽培ではとくに、定植後に雑草が伸び始めるので、こまめに抜き取っておきましょう。
では、露地栽培やプランター(コンテナ)、植木鉢など、植え付ける場所に応じたイチゴ苗の植え付け方法をご紹介してみましょう。
露地栽培(いちご畑)でちご苗の植え付けを行う場合は、まず日当たりと水はけの良い場所を選んで畝(うね)を立てます。
植えつけたイチゴ苗がしっかりと土に馴染んで根を張ることができるように、植え付け畝はおよそ15cm〜20cmの高畝にします。もしも植え付ける場所の排水性が良くない場合は、畝をもう少し高く(およそ30センチ)することで排水性を補うことができます。
植え付ける畝が用意できたら、いよいよイチゴ苗を植え付けるわけですが、植え付ける直前にイチゴ苗にたっぷりと水を与えます。基本的にはじょうろなどでポット苗にしっかりしっかりと水を含ませれば大丈夫です。また、別の方法としては、水を入れたバケツを用意して、その中にポット苗を浸して根土から泡が出なくなるまでしばらく水につけてもかまいません。
イチゴ畑などのような露地栽培では、あまり神経質に考えなくても大丈夫ですが、一般的にイチゴ苗が充分に生育するためには1株あたり2リットル〜2.5リットルの土とそこに含まれる充分な栄養が必要と言われています。
露地栽培の場合はプランター(コンテナ)や鉢植えの場合に比べて、土の量が充分にあるのでそれほど神経質になる必要はありませんが、あまり混みあった状態で植え付けると生育が阻害されます。
そのため植え付ける前に、まず苗をポットに入った状態で畝に並べて植え付け位置や株間を確認します。その際、株間は30センチ、2条植えの場合は条間30センチを目安にしてください。
植え付け場所の広さや、希望する収穫量によっては1条植えでもかまいませんが、イチゴの根域(根を張る広さ)はそれほど大きくないので、畝の幅を60センチにして2条(並列)植えにすると畑を効率的に使えます。
ここまでの条件が整ったら、手や移植ゴテを使って、イチゴ苗を植え付けるための植え穴を掘ります。
植え穴の深さはポット苗が収まるくらいで大丈夫です。もしも土が乾燥しているようなら、植え穴に充分水を与えてから、根土を崩さないようにポットからそっと苗を抜き出して植え付けます。
ポットからイチゴ苗を抜き出したとき、根が回ってからみ合っているようなら、根土の下の方を少しほぐしてから植え付けます。
植え付けの際に気をつけておきたいのが、イチゴ苗を植え付ける向きです。
イチゴの果実は、ランナー(匍匐茎)の反対側にできる花房にできますので、植え付けの際にはランナーの出ている方を畝の内側に向けて植え付け、その反対側の花房の出る方を手前に来るように植え付けます。こうすることで収穫作業が効率よく楽にできるようになります。
(中央に見えるのが”クラウン”です)
さらに、花芽をつけるクラウンが土に埋まらないように浅植えにします。うっかり深植えにすると、新芽の発生が阻害されたり、茎が病気にかかりやすくなったりしますので注意が必要です。
また、逆に浅植えにしすぎると、新しい根が出にくくなったり、乾燥の被害を受けやすくなったりしますので注意してください。
すべての苗を植え付けたら最後に1条ずつたっぷり水を与えておきます。その後、植え付けから1周間は2日おきに、その後は霜が降りる11月中旬まで週1回を目安に水やりを行います。
プランター(コンテナ)や鉢植えでのイチゴ苗の植え付けも、基本的には露地栽培(いちご畑)での植え付けと同様ですが、鉢植えやプランターの場合は露地栽培と違って土の量や1株あたりの根域が制限されるので、露地栽培の場合よりもやや狭い20cm〜25cmの株間を目安に植え付けを行います。
鉢植えやプランター(コンテナ)栽培でも、露地栽培と同様に、あまり株間を詰めて植え付けると果実の充実の妨げになるので注意が必要です。
また、プランター(コンテナ)、ハーベリーポットでの栽培も、露地栽培のときと同様に、やがて果実がつく花房の位置を手前側に植えつけることに注意しておきましょう。
ハーベリーポットは、3つの丸い植木鉢が中央で土を共有しながらつながったような、ちょっと変わった形をした特殊な植木鉢です。
3つの植え込みスペースが中央でつながって土を共有しているため、別々の鉢で育てるよりも土が乾きにくいという特徴があります。また、積み重ねて使うこともできますので、ベランダなどの限られたスペースでイチゴ栽培をするのにも適しています。
使い方は基本的に通常の植木鉢と同じで、ウォータースペースを残してイチゴ専用培養土を入れ、手や移植ゴテを使って植え穴を掘ります。その後用意した苗を植え付けて、たっぷり水を与えておきます。
イチゴの果実は、ランナー(匍匐茎)の反対側にできる花房にできますので、植え付けの際にイチゴ苗の植え付ける向きを揃えておくのも露地栽培の時と同じです。
植え付けの際にはランナーの出ている方をハーベリーポットの内側に向けて植え付け、3つの植え込み部分のそれぞれに、花房が手前に来るように植え付けます
(中央に見えるのが”クラウン”です)
また、花芽をつけるクラウンが土に埋まらないように浅植えにします。
うっかり深植えにすると、新芽の発生が阻害されたり、茎が病気にかかりやすくなったりしますので注意が必要です。また、逆に浅植えにしすぎると、新しい根が出にくくなったり、乾燥の被害を受けやすくなったりしますので注意してください。
ストロベリーポットにイチゴ苗を植えつける場合は、まずポットの中央部分の植え付けスペースにウォータースペースを残してイチゴの専用培養土を入れます。
次に、苗を側面のポケットに植えますが、このとき根鉢の上端と側面のポケットの縁の高さが揃うように植え付けます。
このときランナーを内側に向けて、花房が出る方が手前になるように植えつけること、クラウンを土に埋め込んでしまわないようにするのもハーベリーポットの場合と同様です。
最後に、側面のポケットに植えた苗の根土に土を足して隙間を埋め、ほかの側面ポケットも同様に植え付けます。最後に中央部分の植え付けスペースにもイチゴ苗を植え付けます。
すべての苗を植え付けたらもう一度たっぷり水を与えておきます。その後、植え付けから1周間は2日おき、もしくは土の状態を見て乾き始めているようなら毎日1回、その後は霜が降りる11月中旬まで週1回〜2回を目安に水やりを行います。
プランター(コンテナ)にイチゴ苗を植えつける場合は、幅15センチ、長さ60センチ、深さ20センチくらいのプランターを用意し、1株あたりの用土の量を考えて株数や株間を決めて植え付けます。
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イチゴをプランター(コンテナ)で栽培する場合、できるだけたくさんの果実を収穫するためには1株あたりの培養土の量を守ることが大切です。
「NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12ヶ月 イチゴ(矢部和則・日本放送出版協会)」によると、一般的なイチゴの品種の場合、株が充分に生育できる土の量の目安は、1株あたり2〜2.5リットルとの解説がありますが、プランターでのイチゴ栽培では、ひとつのプランターに植え付ける株の数をあまり多くしないことが重要です。
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幅15センチ、長さ60センチ、深さ20センチくらいのプランター(コンテナ)を例に取ると、株間20センチで3株を植え付けると1株あたりの培養土の量はおよそ2リットル〜2.5リットルになります。
また、植え付けの際に、ランナーの位置を目安にして、やがて果実がつく花房の位置を片側のそろえておくと収穫作業がしやすくなります。また、クラウンを土に埋め込んでしまわにように注意しておきましょう。
植え付け後は、イチゴ苗の根が土に馴染みやすいように、たっぷりと水を与えておきます。
プランター(コンテナ)、鉢へのイチゴ苗の植え付けの方法とコツについては、当サイトの「イチゴ(苺)苗の植えつけ方とコツ」のページでもご紹介していますので、よろしければご覧になってみてください。
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