このページでは、5月のイチゴ栽培の主な作業と注意点など、知っておくと役に立つ作業のコツやポイントをご紹介しています。(とくに注釈がない限り、一季なり(性)イチゴに関して記述しています)
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●5月は一季なり(性)イチゴづくりの最も楽しい収穫の時季。果実全体が赤く色づいて完熟したものから収穫します。
イチゴ(一季なり性イチゴ)は、開花からおよそ35日〜45日で収穫期を迎えます。収穫の際は、ヘタの部分近くまで赤く色づいた完熟した果実を最優先に収穫します。
気をつけたいのは、太陽の光があたっている側だけが赤く色づいて、よく見ると反対側がまだ白かったというような果実まで摘み取ってしまわないこと。収穫の際には、果実の裏側も確認してから摘み取ってくださいね。
また、イチゴの果実は、表面が想像以上に柔らかいので、果実の胴体部分ではなく、へたの部分から摘み取ると果実に傷をつけいないで収穫することができます。さらに、イチゴは、果実の温度が低いうちの朝早くに収穫するのがおすすめです。
5月の収穫期のイチゴの株は、後の繁殖(栄養繁殖)のを目指して、旺盛にランナーを伸ばし始めます。そのため、ランナーの生長に多くの栄養が消費され、果実に十分に栄養が回らないといったことが起こります。
冬に収穫したイチゴの果実よりも5月に収穫したイチゴの果実がやや酸味が強い傾向があるのはそのためです。また、この時季のイチゴの果実は、あまり日持ちも良くないので、収穫後はすぐ冷蔵庫で保存しておくほうが安心です。
●野鳥の食害がひどいときは、トンネル支柱を使った防鳥ネットが効果的。
●ネズミやナメクジの食害対策には水切りネットや、古いストッキングで果実を覆う。
鳥やネズミたちは、赤く完熟したイチゴの実をとても好みます。とくに露地栽培の場合、何の対策もしていないと必ずといっていいほどヒヨドリなどの鳥の食害に遭います。
場合によってはベランダのコンテナ栽培でも鳥による食害に遭うことも少なくありません。こうした鳥による食害を防ぐには、露地栽培であればトンネル支柱を使って、株の上から防鳥ネットをかけるか、コンテナ栽培であれば、低い支柱を立てて粗いネット状に糸を張っておくと効果的です。
ただし、ネットをかける際には、受粉に欠かせないミツバチやマルハナバチなどの訪花昆虫が花に近づけるように、目の大きなネットを使うことに注意しておきましょう。
また、ネズミやナメクジなどの食害防止には、台所用品の水切りネットや使わなくなったストッキングなどを使って、果実を覆ってくと効果的です。
●5月の収穫期以降はうどんこ病や灰色かび病の大量発生に要注意。見つけたら蔓延する前に即取り除く。
梅雨を前にした5月の収穫期以降は、うどんこ病や灰色かび病の発生しやすい時期でもあります。たとえひとつでも放置するとイチゴの株全体に広がってしまうので、見つけ次第果実ごと取り除いておきましょう。
●収穫後は、病害虫のない株を選んで来年の収穫を目指した子苗をつくるための親株として利用。
来年の収穫を目指した 子苗づくりをはじめるのもこの5月です。子苗作りのためにランナーを発生させたイチゴの株を「親株」と呼びます。そしてその親株からできた子苗(子株)を「太郎苗(第1ランナー)」、さらにその子苗が生長してできた子苗(子株)を「次郎苗(第2ランナー)」といいます。
収穫を終えたイチゴの株の中から、うどんこ病や灰色かび病にかかっていない元気な株を選んで子苗(子株)を育てるための親株として利用します。もしもこの時期に出回る一季なりイチゴの苗を園芸店などで購入して親株として育てる時も以下のとおり同様に作業してください。
親株にする苗が決まったら、果房(果実の付いている枝)全体と古い葉を取り除き、太い芽を2〜3本残した状態にして掘り上げます。
選んだ親株(もしくは購入してきたイチゴ苗)は、親株用に用意したプランター(コンテナ)ひとつに対して2株を目安に植え付けます。プランター(コンテナ)は、標準の大きさ(幅60センチ×奥行き20センチ×高さ15センチ)を目安にしてください。
土には植えつける3週間くらい前の段階で、苦土石灰と元肥として緩効性化成肥料などを混ぜておくと植え付け後の生長が活発になります。また、イチゴの根は細くて繊細にできているので、植えつける際にはていねいに扱って必要以上に根を傷めないように気をつけます。
●植え付けの際には、「クラウン」を土の中に埋めてしまわないように注意!
植え付けの際には、土にイチゴの株が収まる大きさの穴を開け、そこに水をたっぷりと注いでから苗を植え付けます。その際、株の付け根にある「クラウン(イチゴの葉と根が着生したところにある、先端に生長点を持つ部分)を土の中に埋め込んでしまわないように、浅く植えつけることが大切なポイントです。
写真の中央に見えるのが「クラウン」です。
もしも複数の品種を組み合わせて育てるときは、それぞれの株に品種名を書いたラベルを立てておきましょう。
露地栽培でイチゴの親株を植えつける場合は、あらかじめ用意しておいた親株用のスペースに親株として選んだ収穫後の苗、もしくは園芸店などで購入してきたイチゴのポット苗を植え付けます。
露地栽培の場合も、植えつける3週間ほど前に苦土石灰と元肥として緩効性化成肥料を適量混ぜ込んでおくと、生長が活発になります。
植え付けの際は、およそ50センチくらいの間隔で親株が収まる穴を土に開け、 その穴にたっぷりと水を注いでから親株を植え付けます。
露地栽培での植え付けも、根を必要以上傷めないように気をつけること、クラウンを土に埋め込んでしまわないように浅く植えつけることに気をつけておきましょう。
無事に親株の植え付けが終わったら、植え付け後の約1周間位の間は、プランター(コンテナ)栽培、露地栽培ともに、1日に1〜2回十分に水やりをします。
植えつけた親株が生長を始め新しい葉が出始めたら、根が活着した証ですので、水やりの頻度を1日に1回にします。
その後、親株の周囲にN(チッソ):P(リン酸):K(カリ)=10:10:10の割合の緩効性化成肥料を1株あたり、20グラムほど施します。施す頻度は10日〜12日おきに1〜2回を目安にしてください。
やがて親株から花房やランナーが伸びてきますが、この時期の花房やランナーはすべて根元から取り除くということが重要なポイントです。
その理由は、秋の植え付けまでに親株を充実させることが大切だから。花房やこの時期のランナーを放置すると親株が疲れてしまうからです。そして、この時期のランナーから子苗を作っても、秋の植え付け前に子苗が老化してしまうというのも理由のひとつです。
秋の植え付けに使う子苗を得るためのランナーは、6月のランナーの整理のあとの太いものを使いますので、 この時期の花房やランナーはすべて取り除くということに注意してくださいね。
一季なり(性)イチゴに対して、四季なり(性)イチゴは、植え付け後、初夏に向けて旺盛に茎葉を成長させていきます。この時期は、枯れた下葉を取り除き、株間を風通しのよい状態にして、うどんこ病や灰色かび病の予防に気をつけましょう。
また、一季なり(性)イチゴと同様に、四季なり(性)イチゴも、この時期ランナーを伸ばします。でも、この後の収穫までは果実により多くの養分を蓄えさせるために、伸び始めたランナーはすべて取り除くということに注意してください。
また、生長の早い株や品種によっては、花房が伸びて開花するものもあります。ベランダなどに置いたプランター(コンテナ)で育てている場合は必ず人工授粉を数回にわたって行っておきます。露地栽培の場合は、ミツバチやマルハナバチなどの訪花昆虫がやってきているようなら特に必要はありませんが、まだ少ないようであれば必要に応じて人工授粉を行っておきましょう。
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